外壁塗装の業種の分類と依頼する際の注意点を徹底解説
外壁塗装が建設業のどの業種に該当するのか、正確に説明できる方はどれほどいるでしょうか。実は塗装工事業という業種に該当し、建設業許可の取得が必要な場合もあるという事実は、意外と知られていません。
外壁や屋根の塗装は住宅の寿命を延ばす重要な工事であり、専門性の高い施工が求められます。しかし、業者によって許可の有無や対応できる工事の種類が異なるため、依頼主側が業種の分類や許可の必要性を理解しておかないと、トラブルや損失に繋がるケースも少なくありません。
この記事では、塗装工事に関わる業種分類や建設業法上の定義、許可制度の仕組みを専門的かつ丁寧に解説します。記事を読むことで、あなたが依頼すべき業者がどの業種に該当し、どのような施工に対応できるのかが明確になります。
信頼できる施工業者を選ぶためにも、まずは正しい知識を持つことが大切です。知らなかったでは済まされない塗装工事業の本質、ぜひ読み進めて確認してみてください。
外壁塗装業は何業種に該当するのか
外壁塗装業は、建設業許可における塗装工事業に分類されます。これは国土交通省が定める建設業の29業種のひとつであり、建物や構造物の外部および内部に塗料、吹付材、ライニング材などを用いて、被覆・装飾・保護する工事を対象としています。中でも外壁塗装は、美観の維持だけでなく、外壁材の劣化防止、防水・断熱・遮熱などの性能向上を目的に行われる重要な工種で、近年では機能性の高い塗料が数多く登場しており、より専門性が問われるようになってきました。
この塗装工事業に該当する具体的な作業範囲には、建物の外壁や屋根の塗り替え、金属や木材などの下地への塗装、スプレーガンなどを用いた吹付け塗装、防錆塗装、防水性のあるコーティング塗装、遮熱や断熱といった機能を持つ特殊塗料の施工などがあります。また、塗装の前段階となる高圧洗浄や下地処理、養生といった作業も、塗装工事に含まれる工程として重要です。
建設業許可が必要となるかどうかの判断は、請け負う工事の金額に関係します。元請・下請の別を問わず、ある一定額を超える工事を請け負う場合には、塗装工事業としての建設業許可を取得しなければなりません。このとき重要なのが、工事内容をどの業種に区分するかの判断です。たとえば、外壁塗装工事の中に防水工事やサイディング工事が含まれる場合、それらがそれぞれ別の業種に該当する可能性があるため、実態に即した業種分類が求められます。
塗装工事業として建設業許可を取得する際には、一定の条件を満たす必要があります。たとえば、過去に建設工事に関わった実務経験を証明できる人材や、所定の資格を持った専任技術者が必要です。よく知られているのは一級塗装技能士二級塗装技能士といった国家資格であり、これらの資格保有者が所属していることが、業者としての信頼性を高める要素ともなります。また、業界団体や工業会への加盟、有資格者による現場管理体制の整備も、顧客からの信頼獲得につながります。
塗装工事業の範囲や定義を理解し、正しい業種分類のもとで建設業許可を取得することは、企業の信頼性を高めるだけでなく、違法行為を未然に防ぐという意味でも重要な意味を持ちます。誤った業種区分によって行政指導を受けた事例もあり、外壁塗装を中心とする工事を行う場合には、塗装工事業の定義や区分の知識を事前に整理しておくことが求められます。
以下は、実際に塗装工事業に該当する代表的な工事内容とそれに伴う建設業区分を表にまとめたものです。
工事内容 | 対象箇所 | 該当業種 | 必要な知識・技術 |
外壁の塗り替え | モルタル・サイディング外壁 | 塗装工事業 | 塗料の特性、養生技術、下地処理 |
屋根の塗装 | 金属屋根・スレート屋根 | 塗装工事業 | 高所作業、安全管理、施工手順 |
鉄部や木部の塗装 | 手すり・破風・窓枠など | 塗装工事業 | 錆止め処理、素材に応じた塗装法 |
防水・遮熱塗装 | バルコニー・屋上など | 防水工事業または塗装工事業 | 防水層の知識、塗料の密着性評価 |
高機能塗料の施工 | 遮熱・断熱・光触媒など | 塗装工事業 | 新素材への理解、施工マニュアルの遵守 |
このように、外壁塗装業が建設業における塗装工事業に該当することは明確であり、その範囲と定義は非常に広範かつ専門性が高いものです。塗装工事に関わる事業者は、これらの基準を正確に把握し、許可取得に向けて準備を整えることが、事業の安定運営と信頼構築につながる重要なステップとなります。今後も塗装業界は、建設業全体の中でも高い需要を保ち続ける分野であり、業界の健全化と成長を目指す上でも、正確な業種分類と法令遵守の意識を持つことが極めて重要です。
外壁塗装の業種別の違いについて
外壁塗装における業種分類は、施工対象によって大きく異なります。これは建設業法が定める工事種別の定義が、工事内容や対象物、使用する材料や工法によって細かく分かれているためです。とくに実務の現場では、塗装対象が外壁のみなのか、屋根や鉄部・木部、さらには防水層を含むのかによって、必要とされる許可業種や技術者の専門分野が異なります。
外壁の塗装は、基本的には塗装工事業に分類されます。モルタル外壁や窯業系サイディングなど、外装材に塗料を施す場合には、下地処理・養生・吹付またはローラーによる塗装・仕上げまでの一連の工程が対象になります。塗料の種類によって求められる施工方法や乾燥時間、塗布回数などが変わるため、現場ごとの判断が重要です。
屋根の塗装は、金属屋根やスレート屋根など、素材ごとの塗料選定が必要になります。高所作業が伴うため、安全対策も含めた施工計画が必要であり、一般的には塗装工事業の範疇に収まりますが、防水性能を主目的とする場合や、遮熱・断熱性能を重視する場合には、防水工事業との兼ね合いも検討すべきです。
鉄部の塗装には、ベランダ手すり、階段、窓枠、玄関扉などが含まれます。これらは経年劣化による錆の発生が前提にあるため、下地処理としてケレン作業(さび落とし)や防錆プライマーの使用が必須です。金属専用塗料やエポキシ系塗料を用いる場合、塗料メーカーの施工マニュアルに準拠することが求められます。
木部の塗装では、破風板や軒天井、ウッドデッキ、木製窓枠などが対象になります。木材は吸水性や乾燥によるひび割れのリスクがあるため、浸透性塗料や防腐・防虫効果を持つ下塗り剤の選定が重要です。表面仕上げには、クリア塗装や浸透性塗料の選択肢があり、意匠性も考慮されます。
防水層の施工は、ベランダ・屋上・庇などで行われることが多く、防水工事業に分類されます。ウレタン塗膜防水やFRP防水などの工法が一般的ですが、仕上げ材としてトップコートを塗布する場合には、塗装工事業との区分が必要です。塗装業者が防水層のトップコートのみを担当するケースもあり、施工責任や保証範囲の明確化が求められます。
こうした実務の違いを理解するには、建設業許可上の業種コードや工事分類、工事内容の範囲を正しく把握しておく必要があります。施工内容を単純に塗装とひと括りにするのではなく、施工対象や目的、工法の違いによって分類が変わることを意識することが重要です。
以下に、実際の施工対象と分類の関係性、対応する業種区分、現場で注意すべき実務上のポイントをまとめます。
施工対象 | 主な工事内容 | 該当業種 | 実務上の注意点 |
モルタル外壁 | 下塗り・中塗り・上塗り、吹付塗装 | 塗装工事業 | クラック補修、下地処理の丁寧さ |
スレート屋根 | 高圧洗浄、下地補強、遮熱塗装 | 塗装工事業 | 高所作業の安全対策、塗膜剥離の防止 |
ベランダ手すり | ケレン、防錆塗装、仕上げ塗装 | 塗装工事業 | 錆止め材の適切な選定、耐候性の確認 |
木製破風板 | 防腐下塗り、浸透性仕上げ | 塗装工事業 | 木目に応じた塗料の吸収率を考慮 |
屋上防水層 | ウレタン塗膜+トップコート | 防水工事業(+塗装) | 工種の明確な区分、保証範囲の確認 |
このように、外壁塗装とひと口に言っても、対象となる建物部位や仕上げ方法によって必要な工事種別や許可業種が異なります。建設業許可の適正な運用、現場の施工計画、顧客への説明や契約内容にも深く関わってくるため、現場管理者や見積担当者、営業担当者は正確な知識を備えておく必要があります。
外壁塗装を依頼をする際の注意点
まず最も多く見られるのが、工事の途中放棄による施工不備です。建設業許可を取得していない業者の中には、経営基盤が不安定であったり、技術者が社内に在籍していないケースもあります。そのため、着工直後に連絡が取れなくなる、資材が届かないまま工事が止まる、工期が何度も延期されるといった問題が頻発しています。
次に多いのは、契約と異なる施工が行われるケースです。建設業許可を持たない業者の中には、技術者の確保や施工管理の体制が不十分なところも多く、契約時に説明された高耐候性の塗料ではなく、安価な塗料を無断で使用する、下塗り工程を省略して塗膜の剥がれが早期に発生するといった被害が報告されています。こうした問題は発覚までに時間がかかることが多く、保証内容も曖昧なため、発生後の補償交渉が困難を極めます。
さらに深刻なのが、無許可業者による詐欺まがいの行為です。外壁を無償で点検すると言って訪問し、必要のない工事を勧めて高額な見積もりを提示し、契約を急かすといった典型的な手口が存在します。こうした訪問販売業者の中には、建設業許可はおろか法人登録すらしていないケースもあり、連絡がつかなくなれば、行政も取り締まりが困難になります。消費者庁でもこのような勧誘に関して複数回注意喚起を行っており、特に高齢者を中心に被害が広がっています。
以下に、実際に発生した主なトラブルの内容とその原因、被害内容を整理した一覧を記載します。
トラブルの内容 | 主な原因 | 被害内容 |
工事放棄・夜逃げ | 無許可業者、経営不安定 | 工事代金全損、外壁未施工 |
契約内容と異なる塗料使用 | 安価な塗料で利益確保 | 塗膜剥がれ、保証なし |
工事の手抜き施工 | 監督者不在、知識不足 | 外壁劣化進行、修繕費増大 |
虚偽勧誘・詐欺行為 | 許可なし、実態不明の業者 | 高額請求、訴訟トラブル |
近隣被害・事故発生 | 安全管理不備 | 損害賠償、行政処分対象 |
このような実例からも明らかなように、建設業許可を持たない業者との契約は、リスクをはらんでいるだけでなく、消費者自身が予期せぬ損害を被る可能性を大いに孕んでいます。外壁塗装工事は見た目だけでなく、建物全体の耐久性や住まいの安全性に直結するため、信頼できる許可業者を選定することが極めて重要です。たとえ工事規模が小さくても、法的基盤を持つ業者に依頼することが、最終的な満足と安心につながるという点を改めて強調しておく必要があります。
後悔しない業者選びを実現するには
外壁塗装を依頼する際には、契約条件を丁寧に確認し、後々のトラブルを防ぐための対策を講じることが不可欠です。多くの消費者が見落としがちな契約書の中身には、施工内容の曖昧な記載や追加工事に関する説明不足、保証期間に関する不明瞭な規定など、さまざまな落とし穴が潜んでいます。依頼時に焦って契約を進めてしまった結果、予定外の費用が発生したり、施工ミスに対する補償が受けられなかったりするトラブルが多く発生しています。
契約時にはまず、施工内容の詳細が書面に明記されているかを確認してください。たとえば外壁塗装一式といった表現ではなく、高圧洗浄、下地補修、養生、下塗り、中塗り、上塗りといった工程ごとの明示が求められます。使用する塗料の種類や製品名、塗布回数、メーカー保証の有無なども、細かく記載されていることが理想です。これらが明確に記されていれば、工事中や完了後に聞いていた内容と違うといった認識のズレを防ぐことができます。
外壁塗装には保証制度も存在しますが、内容は業者によって大きく異なります。施工後に不具合が発生した場合に備えて、保証の有無、期間、対象範囲についても詳細に確認し、書面化することが重要です。中には、自然劣化は対象外といったあいまいな表現で保証を限定しているケースもあるため、塗膜の膨れ、ひび割れ、色あせなど、具体的な保証対象を明記させる必要があります。
これらの契約条件を適切に確認・管理することが、安心できる工事と将来のトラブル回避につながります。特に、以下のような項目は契約書に必ず明記されているかどうかをチェックしましょう。
契約書記載項目 | 内容 | チェックのポイント |
工事内容の詳細 | 工程・塗料・塗布回数など | 一式表記ではなく、具体的な内容か |
使用塗料の種類 | 製品名・メーカー・等級など | 耐候性や塗料保証の有無を確認 |
工期と天候対応 | 工事期間・延期時の対応 | 延期時の追加費用が発生するかどうか |
支払条件 | 着工前・中間・完了後などの配分 | 一括前払いではなく分割払いか |
保証内容 | 保証の範囲・期間・対応内容 | 不具合の種類と補償の具体性 |
さらに、工事開始前には必ず契約書以外にも見積書、工程表、保証書を揃え、施工前の打ち合わせ内容が記載された工事説明書や着工前確認シートが用意されているかも確認してください。これらが整っていれば、契約内容が業者と施主双方にとって共通認識となり、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
このように、外壁塗装の契約時には確認すべき事項が多岐にわたりますが、いずれもトラブルを防ぐために不可欠なステップです。適切な契約条件と書面管理があれば、工事中や完了後の不安も軽減され、安心して施工を任せることができます。業者側の対応の丁寧さや、説明の明確さそのものが、その企業の信頼性や誠実さを測る一つの指標にもなります。契約は単なる形式ではなく、信頼関係を築くための重要な過程であるという認識を持つことが、後悔しない業者選びの第一歩となるのです。
まとめ
外壁塗装業がどの業種に該当するのかを理解することは、適切な業者選びの第一歩です。特に建設業許可制度では、塗装工事業としての許可が必要か否かが、業者の信頼性や対応可能な施工範囲を左右する重要な要素となります。施工を依頼する側がその仕組みを知らなければ、後々のトラブルや余計な出費に繋がる可能性も否定できません。
塗装工事業は、建設業法で明確に定義されており、屋根や外壁、内装に対して行う塗装のほか、防水処理や仕上げ工事も含まれることがあります。しかしすべての工事が一律に同じ業種に分類されるわけではなく、施工対象の構造物や工事内容によって必要な許可や届け出は異なります。加えて、国土交通省の通達や各都道府県の運用によっても判断が分かれるため、業者任せにせず、発注者自身も一定の知識を持つことが求められます。
今回の記事では、公的資料や建設業許可に関する制度を基に、塗装工事業の定義や該当する作業範囲、許可取得の可否、業界内での分類のされ方などを詳しく解説しました。これにより、業者選びの際に表面的な営業トークに惑わされず、建設業の枠組みの中で信頼性のある判断ができるようになるはずです。
外壁塗装は、住まいの美観だけでなく、耐久性や安全性を支える大切な工事です。制度を正しく理解し、適切な業者に依頼することが、長期的に見て住環境の安心とコスト最適化につながります。知らなかったでは済まされない知識を、ぜひ今後の判断に役立ててください。
よくある質問
Q.外壁塗装を依頼する際に、建設業許可の有無は本当に重要なのでしょうか?
A.はい、外壁塗装を行う業者が建設業許可を持っているかどうかは、工事の信頼性や法的な安全性に直結します。特に塗装工事業として許可を取得している業者は、施工の技術や体制が一定の基準を満たしていると国から認められており、依頼者として安心して任せることができます。許可番号や業種区分、更新状況を事前に確認することで、後のトラブルを回避しやすくなります。建物全体や屋根などの外装を扱う工事では、こうした信頼性の判断がとても重要です。
Q.外壁塗装はどのような施工対象によって業種分類が変わるのでしょうか?
A.外壁塗装と一口に言っても、その施工対象が屋根、防水層、鉄部、木部と多岐にわたるため、該当する工事業種も異なる場合があります。たとえば、防水層に対応する場合は防水工事に分類されることもあり、木部や鉄部を専門に扱う業者は塗装工事業の中でも得意分野が異なります。施工内容に合った業種に分類されているかを見極めることで、対応力のある業者選びが実現します。
Q.無許可で営業している塗装業者に依頼するとどのようなリスクがありますか?
A.無許可業者に工事を依頼すると、工事完了後の施工不良や説明不足によるトラブルが発生するリスクが高くなります。実際に外壁塗装において、塗料の不適切な使用や防水処理の不足が原因で、住まいの劣化を早めてしまったという例もあります。許可がない業者は施工責任の所在が曖昧になることも多く、万が一の対応も不十分になりがちです。外壁や屋根など住宅の外装部分は、生活を守るための大切な要素なので、業者の許可取得状況は必ず確認すべきです。
Q.業者を選ぶときに必ず確認すべき施工実績や契約内容にはどのようなポイントがありますか?
A.施工実績については、過去の工事件数や住宅、工務店との取引経験など、地域性や建物の種類に合わせた実績を確認することが重要です。また、契約書に記載されるべき工事内容、塗料の種類、施工範囲、施工日数、アフター対応などが明確であるかどうかも信頼性の判断材料となります。外壁や屋根といった外装の施工は、建物の長期的なメンテナンスに直結するため、書面での確認を怠らないことが後悔しない選択に繋がります。
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